食事

免疫力を高める方法はさまざまです。ストレス解消や定期的な運動も免疫力アップに効果的ですが、日々の食事も大きく関わっています。

今回は免疫力を高める食事の摂り方やおすすめ食材、免疫力を下げる食事の特徴を解説します。

バランスの良い食事が免疫力を高める

免疫機能の働きには、栄養状態が大きく関係しています。栄養不足になると免疫機能がうまく働かなくなるため、栄養状態を良くすることが大切です。[注1]

栄養状態をよくするには、バランスの良い食事を心がけると良いでしょう。

栄養素はそれぞれの働きが複雑に関わっています。偏った食事をすると栄養素同士がうまく働かず、栄養状態が悪くなる恐れがあります。[注2]

免疫力を高める食事を摂るには3つのポイントがある

免疫力を高める食事を摂るポイントはいくつかあります。以下より基本のポイントを3つご紹介します。

免疫細胞の主成分であるたんぱく質を摂取する

たんぱく質は3大栄養素の1つであり、体内で重要な役割を果たしています。筋肉や髪など目に見える部分以外に、ホルモンや免疫細胞の主成分でもあります。[注3]

たんぱく質が不足すると免疫細胞や酵素などが減少し、体の調節機能がうまく働かなくなります。すると免疫力が下がり、体調を崩しやすくなります。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質、どちらも積極的に摂取することが望ましいです。積極的に食事に摂り入れましょう。

抗酸化物質を含むビタミン類やポリフェノールで体のさびつきを取る

体内に取り込んだ酸素の数%は、活性酸素に変化します。活性酸素自体も免疫機能を持っていますが、過剰に増えると体をさびつき、逆に免疫力が低下してしまいます。[注4]

しかし私たちは、常に呼吸をしなければ生命を維持できません。つまり、活性酸素は常に増え続けるということです。このまま放っておくと活性酸素が増え続けて体内がさびつき、細胞を傷つけてしまうでしょう。

そこで大切なのが、活性酸素を抗酸化することです。ビタミンA、C、Eやポリフェノールなどの栄養素から、抗酸化物質を取り込めます。抗酸化物質は活性酸素によって傷ついた細胞を修復したり、再生したりしてくれます。[注5][注6]

ビタミン類やポリフェノールを積極的に食事に取り入れることで抗酸化作用が高まり、免疫力アップにつながるでしょう。

免疫細胞の60%を占める腸内の環境を整える発酵食品や食物繊維を摂る

免疫細胞の約60%以上が腸に集まっています。[注7]腸の健康と免疫力は直結していると言っても過言ではありません。

腸内環境を整えるには、生きた善玉菌「プロバイオティクス」を含む食べ物と、腸内に存在する善玉菌のエサ「プレバイオティクス」を含む食べ物を摂取する必要があります。善玉菌は長時間腸に滞在しないと言われています。そのためプロバイオティクスを含む食べ物は、毎日の摂取が望ましいでしょう。[注8]

プロバイオティクスは発酵食品に、プレバイオティクスは食物繊維やオリゴ糖に含まれています。

免疫力を下げる2つのNG食事習慣

冷やしたトマト

毎日何気なく行っている食事習慣が、免疫力の低下につながっていることがあります。以下より免疫力を下げる食事習慣について解説します。

冷たい食べ物や体を冷やす食べ物を摂りすぎると免疫細胞の働きが悪くなる

体温が下がると、免疫細胞の働きも低下するという研究結果があります。[注9]冷やしたものや、体温を下げる作用のあるものを食べすぎると免疫力が低下するため、注意が必要です。

果物や生野菜、冷たい飲み物などを摂りすぎないようにしましょう。

栄養が偏った食事習慣が免疫力を低下させる

食べ物にはそれぞれ栄養素が含まれています。偏った食事を摂取し続けると、必要な栄養素を取り込めません。

例えば肉や魚などのたんぱく質ばかりを食べていると、野菜や果物から取れるビタミン類やポリフェノール、海藻やきのこから取れる食物繊維などが不足してしまいます。このような生活を繰り返すと、活性酸素が増えたり腸内環境が悪くなったりと、免疫力が低下する原因になるでしょう。

逆に、野菜類ばかり食べて肉や魚などのたんぱく質を食べない人もいます。ダイエット中の人や太ることを恐れている人などに多いですが、これもよくありません。たんぱく質は免疫細胞の主成分です。しっかり食べないと免疫力が低下し、病気になる恐れがあります。

免疫力を高める!おすすめ食材をご紹介

免疫力を高める食材は多くあります。ここでは特におすすめな食材をご紹介します。

たんぱく質は免疫力アップには必須!肉や魚、卵、大豆、乳製品をバランスよく

免疫細胞とつくるたんぱく質は、肉や魚、卵や大豆、乳製品から摂取できます。タンパク質によって含まれている栄養素も異なります。例えば、魚類にはビタミンD、EやミネラルやDHA、卵にはたんぱく質以外にビタミンやミネラルが豊富です。[注10]

それぞれのタンパク質をバランスよく摂取することが大切です。

緑黄色野菜はさまざまなビタミン、ミネラルが含まれているカボチャが特におすすめ

緑黄色野菜は栄養素が豊富です。中でもカボチャは抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eが豊富に含まれています。そのほかカリウムなどのミネラルや食物繊維も含まれているため、特におすすめの食材です。脂溶性ビタミンのため、油分と一緒に食べるとビタミンを効率よく吸収できます。炒め物や天ぷらにすると良いでしょう。[注11]

また、ビタミン以外にもカリウムや食物繊維も摂取できます。

果物の中でもキウイフルーツは、ビタミンC、Eや葉酸、ポリフェノールや食物繊維も摂取できる

キウイフルーツは免疫力を高める栄養素が豊富に含まれています。[注12]新鮮なものは特に栄養量が多いです。腸活に良いと注目を集めている酢酸も含まれているため、腸内環境も整えられます。[注13]

キノコ類は免疫力をアップしてくれるβグルガンを含む

きのこ類

βグルガンは、食物繊維の一種です。腸内の免疫細胞に働きかけ、免疫機能を高めてくれる効果があります。キノコの中でもマイタケに多く含まれています。[注14]

抗酸化作用のあるポリフェノールは、赤ワインや緑茶、コーヒー、ココアなどの飲み物からの摂取がおすすめ

赤ワインにはアントシアニンやタンニンをはじめとしたポリフェノールが含まれています。お酒を飲まない場合は緑茶からカテキン、コーヒーからクロロゲン酸、ココアからはカカオポリフェノールを摂取できます。

腸内環境を整えるにはヨーグルトや味噌などの発酵食品が効果的

ヨーグルトや味噌、キムチなどの発酵食品は、腸に生きた善玉菌を届けることができます。

腸内環境を整えるには、発酵食品と食物繊維、オリゴ糖を摂取することが大切です。発酵食品であるヨーグルトにオリゴ糖を含むはちみつ、食物繊維を含むバナナを合わせると良いでしょう。[注8]朝食やおやつなどにおすすめです。

日々の食事の摂り方を意識し、免疫力を高めよう

免疫力を高めるには、食事に関心を持つことが大切です。免疫力を下げる食事習慣をしていた場合は、意識して変えていきましょう。免疫力は、特定の栄養素や食べ物を摂取して上がるものではありません。日々バランスを意識しながら食事内容を考えましょう。

ダイエットの経過

少しずつでも免疫力を高める食事をしていけば、健康な体を手に入れられます。無理のない範囲で食事習慣を変えながら、免疫力を高めていきましょう。

[注1] OregonState University:免疫 免疫システムの概要[英文]
[注2]国立循環器病研究センター病院:栄養に関する基礎知識 バランスのよい食事とは
[注3]健康長寿ネット:三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量
[注4]e-ヘルスネット:活性酸素と酸化ストレス
[注5]総合南東北病院:免疫力を高めるために
[注6] e-ヘルスネット:抗酸化物質
[注7]公益財団法人 腸内細菌学会:腸管免疫
[注8] e-ヘルスネット:腸内細菌と健康
[注9] J-STAGE:体温調節と細胞性免疫[pdf]
[注10]農林水産省:だから、お魚を食べよう!
[注11]健康レシピ 昭和大学:免疫力と抵抗力を高める食材
[注12]ゼスプリ:キウイの8つの重要な栄養素
[注13]ゼスプリ:腸活成分「酪酸」×キウイでおなかスッキリ!
[注14]きのこらぼ:βグルカンで菌活

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