食事風景

個人に合った食事を摂取することで疾病の予防や改善も考えられることから、病院では遺伝子レベルでの個人に合わせた治療食なども注目されています。遺伝子研究によると、遺伝子の約2割は先天的、残りの8割は後天的な環境や生活習慣・食習慣によって変化をもたらすと言われているのです。

そして、それらが結果的に体に影響を及ぼすことから、疾病リスクの増減や老化防止に関与していることも分かっています。

遺伝子と食事の関係性について、詳しく解説します。

食事に影響を受ける3つの遺伝子

複数の人が同じ食べ物を摂取しても、遺伝子の違いによって栄養素の吸収や代謝の仕方に違いがあり、体型にも変化が現れます。つまり、私達の今現在の体型や体質には遺伝子が深く関係しているということです。

「三大栄養素」という言葉は馴染み深いものでしょう。私たちの体をつくるうえでとても重要な栄養素である、「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」を指します。遺伝子にはこれらの代謝に関わる、「肥満遺伝子」と呼ばれているものがあるのです。

そんな私達の体型に関わる肥満遺伝子は、現在50種類以上あることが確認されています。その肥満遺伝子の中で日本人のうちの97%が、β3AR(糖質代謝に関わる遺伝子)、β2AR(たんぱく質に関わる遺伝子)、UCP1(脂質代謝に関わる遺伝子)のいずれかに変異があるという統計結果があります。[注1]

[注1]厚生労働省 e-ヘルスネット:肥満遺伝子

糖質代謝に関わる「β3AR遺伝子」

β3AR遺伝子に変異が認められる場合、脂肪の分解・燃焼が抑制され基礎代謝も低下します。

その結果、余った糖分が内臓脂肪としてため込まれ、ウエスト周りから太りやすくなる傾向にあります。

たんぱく質に関わる「β2AR遺伝子」

β2AR遺伝子に変異が認められる場合、体内でたんぱく質を早い段階からエネルギーとして消費してしまう傾向にあるため、筋肉がつきにくいです。

基礎代謝が高く太りにくいとも言えますが、筋肉量が少ない傾向にあるため一度太ると痩せにくいことが考えられます。

脂質代謝に関わる「UCP1」

UCP1に変異が認められる場合、皮下脂肪の燃焼が苦手で基礎代謝が低くなりやすく、油脂を取り過ぎると太りやすい傾向にあります。

また、この遺伝子は体温維持にも関与していることが分かっており、変異が認められる場合には体の冷えも感じやすくなるでしょう。

栄養素の代謝に関わる遺伝子を把握する2つのメリット

食材を選ぶ

栄養素の代謝に関わる遺伝子があり、それらが肥満や体型に関与していることを紹介しました。

自身の遺伝子を把握することには、2つの大きなメリットがあります。

栄養素から自分に合う食材を見つけることができる

『〇〇は体に良いから積極的に食事で摂り入れましょう!』という言葉をよく聞きますが、これは一般論であり個人にスポットを当てた話ではありません。

この食材には糖質が多く含まれる、脂質が多く含まれる、たんぱく質が少ないなど、食材ごとに含まれる栄養素は異なっています。いくら体に良いと言われても、遺伝子的に見て糖質の消費が苦手な人が、糖質の多い食材を頻繁に摂っていては肥満に繋がるでしょう。

また、スポーツをしている人や日頃から筋トレをしている人に、前述のβ2AR遺伝子に変異がみられた場合を考えましょう。β2AR遺伝子の変異を知った上で、積極的にたんぱく質を摂取した場合とそうでない場合では、筋力やパフォーマンスに大きな差が現れます。

このように遺伝子を知ることで、自分が控えるべき栄養素や積極的に摂り入れるべき栄養素を知ることができるのです。

肥満の予防やダイエット効果が期待できる

「糖質ダイエットは効果的で早く痩せる」という情報だけでダイエットをおこなった場合、遺伝子の違いによって体重の減少率に個人差が現れます。

しかしながら、遺伝子情報を知り「糖質は消費しやすいが脂質は消費しにくい体質である」と把握できれば、糖質制限をおこなうより脂質制限をおこなった方が、結果的により多く体重を減らすことができるのです。

三大栄養素に関わる遺伝子に合わせた食事法や食材

β3AR(糖質代謝に関わる遺伝子)、β2AR(たんぱく質に関わる遺伝子)、UCP1(脂質代謝に関わる遺伝子)の変異に合わせた食事法や食材を紹介していきます。

β3ARに変異がある場合

β3ARに変異がある場合、余分に摂取した糖質を内臓脂肪として取り込んでしまう傾向にあるので、過剰な糖質の摂取には注意が必要です。そのため、日頃からごはんやパン、麺などの主食の量は軽めを心掛け、おかずをメインに摂取するようにしましょう。

ただ、芋類は糖質が多く含まれるので注意が必要です。また間食の糖質量にも注意しましょう。

β2ARに変異がある場合

β2ARに変異がある場合たんぱく質を消費しやすい体質であるため、体内のたんぱく質量に注意し、積極的にたんぱく質を摂取する必要があります。

たんぱく質は肉や魚、卵などの「動物性たんぱく質」と、大豆や小麦などの「植物性たんぱく質」の2種類があり、それぞれ含まれるアミノ酸の種類も異なるため、両方を摂取する必要があるでしょう。

動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の両方を摂れる料理の例を挙げると、「肉豆腐」「マーボー豆腐」「鴨南蛮そば」「マグロとアボカドのサラダ」などです。

また、メイン料理で動物性たんぱく質を摂り入れ、副菜として冷奴や納豆、ブロッコリーや大豆のサラダなどを摂り入れると良いでしょう。

UCP1に変異がある場合

UCP1に変異がある場合、脂質の代謝が苦手な傾向にあるため、脂質の過剰摂取には注意が必要です。揚げ物はなるべく避ける、炒め物より蒸し料理や焼き料理を選ぶように心掛けましょう。

乳製品は体に良いとされていますが、脂質含量が多いため過剰摂取には注意しましょう。また、間食は脂質の多いスナック菓子やドーナツ、アイスクリームなどは控えて、和菓子を選択するのがオススメです。

遺伝子に合わせた食事を摂るうえで注意すべきこと

大量の皿

遺伝子レベルで調べたから間違いないと思っても、食材を過度に控えることや過剰に摂取することは、栄養のバランスが偏るきっかけとなります。

今回は主に三大栄養素についてお話してきましたが、私達が日々活動するうえで必要な栄養素には、三大栄養素のほかにもビタミンやミネラルなどが含まれます。

偏った食生活をすることでほかの栄養も失う可能性が十分にあるため、食事の基本はバランスよく摂取することだといえるのです。

「過剰と不足」に注意した食生活を送りましょう。

遺伝子を把握して健康的に食事改善をしよう

研究の発展により、栄養素の消費に関与する遺伝子を知ることで、個々に合った食材や食事にアプローチできる時代になりました。近年では、遺伝子は食生活や環境で変化することも研究で分かっています。

遺伝子という、より個人に密接で新しい観点から食事を変えていくことが体型を維持・改善し、健康であり続ける近道であると言っても過言ではないでしょう。

ダイエットの経過

ご自身の遺伝子を把握して最適な食事を摂りたいと考えている方は、トランザットのオンライン食事指導サービスをご検討ください。遺伝子検査に加えて腸内フローラの検査をおこなったうえで、プロによる正確な食事指導を受けられます。

検査キットは自宅に届くので、忙しい方でも簡単に取り組めます。興味がある方は、ぜひご相談ください。

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