菜食主義

ビーガンとは、動物性の食品は全て食べないベジタリアン(菜食主義)の一種です。日本では、ビーガン生活をしている人にはあまり出会わないですが、欧米を中心に増加し始めており、その市場規模は1兆円を超えるとも言われています。[注1]

今回は、注目を浴びているビーガンの基礎知識やビジネスマンにもたらすメリットについてご紹介します。これから仕事とビーガン生活の両立を目指す男性に知っておいてほしい注意点についてお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

ビーガンとは動物性の食品は全て食べない完全菜食主義のこと

ビーガンという言葉は、ビーガン協会の設立者であるドナルド・ワトソンによる「人間は動物を搾取することなく生きるべきだ」という考えのもと造語されました。

その食生活はベジタリアン(菜食主義)の一種と言えますが、肉や魚、卵や乳製品、さらにはハチミツ、ゼラチンといった動物性の食品は全て食べないため、完全菜食やピュア・ベジタリアンなどと言われることもあります。

ビーガンは女性だけではなく、意識が高い男性にも支持者が多い食事スタイルです。

ビーガンが広まった背景は心疾患リスク軽減と環境対策

アメリカ・イギリス・オーストラリアなどでは、肥満による健康問題が深刻化したことによってビーガンが注目され広まったと言われています。健康問題のなかでも心疾患リスクは非常に重大で、アメリカにおける2008年の死因の80.5%が虚血性心疾患と報告されています(人口10万対)。[注2]

同年の日本では、虚血性心疾患が死因とされている数が31.2%となっていることから、アメリカが抱える肥満による健康問題が深刻ということが良くわかるでしょう。

このように、アメリカをはじめとした各国で問題となっていた心疾患のリスクは、動物性食品を摂取することで高まるとされていることから、ビーガンが注目され始めました。

心疾患のリスク軽減に加え、欧米では「畜産による環境破壊」が社会的に問題視されていました。農地開拓における森林破壊や、土壌・河川の汚染、温室効果ガスの増加による地球温暖化は世界規模の問題となっています。そのため、家畜を減らす意向を示す意味でもビーガンを標榜する人が増加しています。

イギリスの調査会社グローバルデータが公開した調査結果によると、2018年にはアメリカのビーガン人口は600%も増加したと言われています。

ビーガン生活には5つのメリットがある

ビーガン生活を始めた人が共通して口にするメリットがいくつかあります。ここからは、ビーガン生活を始めると得られる、ビジネスマンにうれしいメリットについて紹介していきます。

肌が綺麗になる

ビーガン生活を続けていると「吹き出物が減った」「肌のつやが良くなった」など、肌質の改善を実感できる傾向にあるようです。

その理由として、次の3つが考えられます。

  • 動物性の脂質を摂らないためホルモンのバランスが整う
  • 食物繊維を多く摂取することから腸内環境が整う
  • 豊富に摂取したビタミンが肌に良い影響を与える

とくに、忙しさや付き合いで外食に頼りがちな男性は、脂質を含む食事を取ることも多いため、過剰な脂質の吸収や栄養素が不足することで肌が荒れやすい傾向にあります。

肌質の改善は男性はビジネスにも良い影響を及ぼすので、ビーガンはビジネスマンにはおすすめの食事スタイルです。

汗の臭いや体臭が気にならなくなる

汗や体の臭いについて悩んでいる男性は、ビーガン生活を行うことで体臭の改善を目指せます。

汗の臭いの原因となるのは雑菌です。そして菌のエサとなるのは、「動物性のたんぱく質」や「動物性の脂質」です。ビーガン生活により動物性の食材を摂らなくなると、菌の増殖が抑えられ、体内から出る汗に臭いが無くなると考えられます。

また、食物繊維を豊富に摂って腸内環境が整うこと、豊富なビタミンが栄養成分の酸化を防ぐことなども、体臭が軽減される理由と考えられます。

ビジネスにおいて、体臭を含むエチケットは必ず意識しておきたいポイントです。成功を目指したいのであれば、ビーガン食を取り入れながら体臭宅作をしてみても良いでしょう。

脂肪分が少ないためダイエットに効果的

腰回りを気にする男性

ビーガン食は基本的に脂肪分が少なく、ビタミンや食物繊維が豊富に含まれているため、ダイエットにも効果的です。実際、ビーガン生活を続けている人は、通常の食生活をしている人よりBMI(体格指数)が低いことが分かっています。[注4]

とくに、オフィスワークやテレワークが多い男性は脂肪が付きやすく、BMIも高くなりやすいです。脂肪や体重に課題を感じているビジネスマンは、ビーガンを取り入れてみてもいいかもしれません。

お腹の調子がよくなる

植物中心の食生活を送る人の腸内には善玉菌が多く存在しています。善玉菌は健康維持や老化防止に効果的とされており、植物中心の食生活を送る人の腸内環境は整っているといえるでしょう。

善玉菌に対して、体に悪い影響を及ぼすとされているのが悪玉菌です。この悪玉菌が増える原因として、動物性たんぱく質や脂質が多くなるような食事の偏りが挙げられます。肉類や魚介類、卵、乳製品ばかりを食べていると悪玉菌が増えていってしまうのです。なかでも忙しい男性は、短時間で食べられて満足度を得られる肉中心の食生活になりやすいため、野菜などもバランスよく摂取して腸内環境の改善を目指しましょう。

一方で、ブルーベリーやりんご、アーモンドといった植物性の食品、あるいはオートミールのような全粒穀物を食事に取り入れることで、善玉菌が増加するとされています。これは、善玉菌のエサとなる食物繊維を多く摂取していることが影響していると考えられます。

疾病リスクが低下する

ビーガン生活で期待できるのが、心疾患、糖尿病、癌といった疾病リスクの低下です。

野菜や果物には、血圧を低下させるカリウムが豊富に含まれています。高血圧と心疾患は密接な関係があり、ビーガン生活ではカリウムを多く摂ることで高血圧を予防し、心疾患のリスク軽減が望めます。

糖尿病は、体内で血糖値を下げるインスリンが正常に働かないことが原因で発症する疾患です。植物成分中心のビーガン生活では、インスリンの働きを正常化し血糖値を下げることから、糖尿病のリスクも低下すると考えられています。

また、動物の肉を食べることを避けるビーガン生活では、がんのリスクも軽減されると言われています。

国際がん研究組織(IARC)が2015年に発表した研究結果と、国立がん研究センターが2011年に発表した「日本人における赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」の解説では、加工肉が「人に対して発がん性がある」、赤肉が「おそらく人に対して発がん性がある」と判定されました。[注5]

取引先との会食などで加工食品や肉中心の食生活を送っている男性は、健康のためにもビーガン食を取り入れてみるといいでしょう。

ビーガン生活では注意して摂取したほうがよい栄養素が4つある

ビーガン生活を送る際は、栄養の知識を知っていなければ、間違いなく栄養不足による何らかの影響が体に現れます。ここからは、男性がビーガン生活を送るうえで不足が予想される栄養素について見ていきましょう。

たんぱく質は豆類・穀物類などで摂取

ナッツ類

肉や魚、卵を食べていれば自然とたんぱく質摂取量は増えますが、これらを口にしないビーガンは、豆類や穀物類、ナッツ類で1日に必要なたんぱく質を補う必要があります。

たんぱく質は臓器を正常に保つほか、免疫を高めたり男性ホルモンの材料になったり、髪や爪を構成したりしてくれる栄養でもあります。たんぱく質を構成するアミノ酸には体内で合成されないもの(必須アミノ酸)もあるため、たんぱく質の摂取量には注意が必要です。

カルシウムは大豆製品から摂取できるが乳製品よりは少なくなる

牛乳や乳製品を食べないと、カルシウム不足に陥りやすくなります。カルシウムは大豆製品や野菜にも含まれますが、牛乳やヨーグルトと比較すると1回の摂取量が少ないため、乳製品よりも吸収率が下がってしまいます。

カルシウム不足がひどくなると、骨粗しょう症だけでなく、手足のしびれやけいれんなど、心拍リズムの異常を起こす恐れがあります。場合によっては死に至るリスクにもなるため、注意が必要です。男性の健康維持にカルシウムは欠かせないので、サプリメントなどで摂取していくことが大切です。

鉄は一緒に摂取する食材に工夫を

レバーや赤身肉、赤身の魚や、貝類には鉄が多く含まれています。豚や鶏のレバーは、1食で1日に必要な鉄分のうち半分以上を摂取できる食品です。

ビーガンが摂取する大豆などから得られる鉄は非ヘム鉄と言われており、体内での吸収率が低いです。そのため、鉄の吸収を高めてくれるビタミンCを含んだ食材と一緒に摂取するようにしましょう。

男性が鉄不足に陥ると、体を動かしたときに息切れや動悸、頭痛、めまい、立ちくらみ、疲れやすくなるなどの症状が現れます。

脳卒中のリスクを抑えるビタミンB12は動物性食品からしか摂取できない

ベジタリアンやビーガンの人は、動物性食品のみから摂取できるビタミンB12などの一部の栄養素が不足しがちになることも指摘されています。ビタミンB12が不足すると、脳卒中のリスクが上昇する恐れがあると示唆されているため注意しましょう。

また脳卒中は、高血圧や糖尿病、脂質異常や喫煙などによってリスクが高まると言われています。とくに男性は脳卒中の危険因子が多いと考えられているため、ビーガン生活の中でもビタミンB12は必ず摂取するようにしてください。

メンズのビーガン生活を継続するためには、無理は厳禁!

これまで肉や魚を食べていた男性がいきなりビーガンの生活を始めると、急激な体重減少や栄養不足により、ビジネスや健康に支障をきたす可能性が非常に高いです。

男性は1日に2,200±200kcal程度のカロリーが必要なため、突然ビーガンに切り替えるとエネルギー不足に陥りやすいです。無理なくビーガン生活を続けるためにも、まず週に数日から実践し、段々と日数を増やしていくようにしましょう。

また、近年ではビーガン料理や、ベジタリアン料理などを提供する飲食店も増加しています。外食を制限するのではなく、食べられる料理のある店を探して、できるだけストレスを溜め込まないようにビーガン生活を楽しみましょう。

メリットとデメリットを理解したうえでメンズのビーガン生活を

ビーガン生活には健康的なメリットがある一方で、栄養素が不足しやすいといったデメリットがあります。しかしながら、正しい知識を身につけてビーガン食を取り入れれば、心身共に健康的な生活を送ることも可能です。

ビーガンに興味がある男性は、ぜひ健康面に気を使いながら自分に合ったビーガン生活を送ってみてください。

ダイエットの経過

ビーガン生活に興味はあるけど続けられるか心配、健康面に不安があるという男性は、一度トランザットのオンライン食事指導サービスをご検討ください。

メンズ専用サロントランザットのオンライン食事指導サービスは、遺伝子検査・腸内フローラ検査の結果を受けてからスタートされます。検査といっても自宅に検査キットが届くので、お家時間を利用して手軽に受けられるのが特徴です。

「仕事が忙しくて自分で栄養管理ができない」「自分の体質に合った食事指導をしてほしい」とお望みの男性は、ぜひお声かけください。

[注1]PRESIDENT Online:1兆円市場"完全菜食客"で上手に稼ぐ方法
[注2]国立社会保障・人口問題研究所:主要国の主要死因別標準化死亡率
[注3]Nerwsweek日本版:英国でビーガンが急増、しかし関係者からも衝撃的な発言が相次いでいる
[注4] HealthDay:Vegan Diets Tied to Higher Bone Fracture Risk[英文]
[注5]国立研究開発法人国立がん研究センター:赤肉・加工肉のがんリスクについて

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